第九十五回連載資料

イリヤ・レーピン展
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_repin.html


《思いがけなく》(1884-1888)

まさにその人が部屋に入って来た瞬間、まわりの人がその姿を認識して、この人が誰なのかを理解しようとする一歩手前の瞬間にみえる。カメラでいう、「決定的瞬間」を絵画で表現するとこのようになるのではないかと思われるようなものがあって、しばしこの絵の前に立ち止まってしまった。
そうなんだよね。あらゆる視線が男に集中している。その視線は喜びをもたせるような男の子の視線、いくぶんか警戒しているような女の子の視線、妻か母かわからないが黒い服の女性(ナロードニキか?)の目そのものが見えない視線。ピアノの前にいる女性の驚きの視線、ドアをあける召使いらしい女性の監視するような視線、その背後にいる誰かの不安げな視線。そして、男は黒い服の女性を緊張した顔つきでみつめている。
このような、それぞれの性格を帯びた視線が交錯するような絵をわたしはあまり知らない。
  
ライブラリー・ラビリンス「レーピン展レヴュー」より
http://tmtkknst.com/LL/2012/09/03/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E5%B1%95%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%83%A5%E3%83%BC/


ポッライウオーロ兄弟《聖セバスティアヌスの殉教》1475

http://www.nationalgallery.org.uk/paintings/antonio-del-pollaiuolo-and-piero-del-pollaiuolo-the-martyrdom-of-saint-sebastian